ここでの農業と暮らしの形は、昔は当たり前だったことが現在進行中という感じが一番表現が近いでしょうか…。
2月になると近所の竹林へ出向き始めます。長靴を履いた足先でまだ地中にいるたけのこを見つけるのが得意な次子さん。
たくさん収穫できると、薪を焚いて大きな釜で一気にゆで上げます。なんとも豪快ですが、自宅のガスでは間に合いません。ゆでたてのたけのおさしみ(しょうゆをつけて)は最高です。
秋にはカーポートの軒先に干し柿が並びます。渋柿を丁寧に剥き焼酎などでカビを防ぎ、紐でくくって頃合いを待ちます。この景色だけで秋が来たと感じます。
夏みかん、わらび、うど、ふき、みょうが…。子どもの頃はあまり好きでなかったみょうがも、今は大好きです。食べるだけでなく「こういう場所に生えるんだ」、「こんな風に育っているんだ」という発見も新鮮です。「今日は摘んできたみつばで卵とじ作ったの」、「みょうがで汁物作るかね」、「夏みかんでジャム作っとけばいつでも食べれるで」といった感じで、食材で献立が決まったり保存食を作ったりするのも生活のリズム。また「お父さん(健次さん)が食べたいって言っとったで〇〇作るかね」といった次子さんの愛情もちらほら。こういう配慮が夫婦円満の秘訣なんでしょうね。
手作りで驚いたのは、豆腐。原材料の大豆も自分たちで育てた青大豆を使うのがこだわり。100均のざるに入れればざる豆腐ができあがります。豆腐を一から作る生活と技術に驚きました。これを伝えたい…と、手作りざる豆腐教室の講師として次子さんにお願いしたこともありました。時間はかかるけど、この時間の過ごし方やできたてのおいしさを味わえることは、豆腐に限らず伝承していくこともこれからの時代、大切なのかもしれません。